2010年6月11日金曜日

「世界を変えるデザイン」読後会

今日、会社をさぼって槌屋さんが監訳されている「世界を変えるデザイン」の読後会に行ってきました!

読後会というものは初めてで、一体5時間も何をするんだろう・・・と、どきどきの参加でした。

それが・・・、5時間、ほんっとにあっという間でした!
もっと話を聞きたい、もっと話したい、もっと考えたい、、と思っている間に、気がついたらあれもう終わり?といった感じでした。
こちらhttp://twitter.com/#search?q=%23dkg611で実況されているようです。

最初のほうは、「世界を変えるデザイン」のなかでどれが一番お気に入りのプロダクトか?というトピック。
IDEの灌漑ポンプやQドラム、ポットインクーラー、ラップトップといったメジャーどころ(?)が飛び出しましたが、私にとって意外だったのはトウガラシ・フェンス。
わたしはこの本を読んでいたとき、ザ・プロダクト的なものにばかり目が行っていたので、あまり記憶にありませんでした。
でも、トウガラシ・フェンスのなにがすごいって、「現地の方のwisdomの結集(by 槌屋さん)」なんですよね。そしてそれを「デザイン」として扱っているところがすごい。
「世界を変えるデザイン」には、先進国の技術やアイデアを使ったものと、現地の中で自然に生まれたwisdomの二通りがあるんだね、という結論に大いに納得しました。

そして、ワン・ラップトップ・パー・チャイルドで開発途上国の子供にインターネットで世界とつながる機会を与えることが本当にいいことなんだろうか、という疑問から、話はだんだんと「世界を変えることのゴール」ってなんだ?幸せってなんだ?っという根幹的な話しへ。
インターネットでグローバル化することや、急いで経済的に豊かになっていくことが本当に幸せなのか。それは「押し付け」ではないだろうか。そもそも、我々日本人は幸せなのだろうか・・・。
そういった根本的な問いなしに、先進国がBOPビジネスに突き進んでいくべきではないという意見と、あまり考えすぎず「とりあえずやってみる」という姿勢が大事という意見がありました。
個人的には、「本当にこれでいいのか」という迷いや不安と、でもとりあえずやってみよう!というeasy goingさ両方をバランスよくもちながら、現地の方との共同を大事にしながら進めていくのが一番かなと思いました。
それにしても、こんな哲学的な部分まで想いっきり話し合えるのは読後会ならではですね。

読後会も終盤にさしかかり、槌屋さんからあるソーラーランタンのご紹介がありました。
なんでも、ケニアのスラム街のストリートチルドレンが、ソーラーパネル以外の材料以外は自分達で調達し作っているそうです。
値段は30ドルと高いので、なかなか売れてはいないそう。というのも、ソーラーパネルの調達コストが一つあたり25ドルと高いため。
そこで、なんとかしてソーラーパネルのコストリダクションできないか?、自分達で作れたらもっと安いんじゃないか?ということを槌屋さんは模索されているようで、最新技術によってそれも夢ではなくなってきているようです!
このソーラーランタンにはすごく興奮しました。
なんといっても、ふつうにかっこいい!買いたい!と思うんです。
わたしは今まで、BOP向けのプロダクトとは、先進国の最新技術やデザインを使って先進国のひとや会社が生産し販売するものだと思っていました。
それが、ソーラーパネルのアッセンブリの方法だけを教わった子供達が、自分達の手でものをつくってしまうことがあるんだと、しかもそれが普通に日本のお店で並んでいても買いたいと思えるレベルのものだということに本当に驚きました。
これこそが、中盤にでてきた「先進国の押し付けでは?」という疑問に対しての答えであるような気がしました。
私たちがもっと謙虚になって、彼らの力を知り、信じて、私たちはただサポートする、そしてそのサポートも彼らのペースや「こうしたい」という気持ちに合わせるのが必要なんだろうと思いました。

そのソーラーランタンについて、「先進国で2倍の値段で売って、一つ買ったら一つがケニアの人に寄付されるというマーケティングができるんじゃないか」という広告業界の方からの提案があった。さすが!と思いました。こういう色々な知恵が集まるのは本当に面白いですね。
結論としては、彼らはそれは望んでいない、自分達で売って自分達で買う、ということにこそ意味があるのでは、というところに落ち着きました。
たしかに、「ソーラーランタンが必要なひとがいるなら、さっさと手元に届けてあげたらいい」と思ってしまいがちですが、よほどの緊急援助でなければ、自分達で苦労して手に入れたものを使うときのウキウキ感(消費者側)や、なんとかしてみんなに買ってもらえるように試行錯誤する楽しさ(売る側)といったような、私たちが普段の消費行動や仕事で味わってるような楽しさを感じることのほうが、灯りそれ自体よりも大切なことなんだと強く感じました。

ここで感じたこと、学んだこと、出会えた方々は本当に私にとって宝ものだなと思いました。